| 認知症はなぜ起こるのでしょうか |
◆今のところ、認知症、特にアルツハイマー型認知症は
脳の神経細胞に、
長年生きて来た結果生じるごみが貯まることによって、
発生するとされています。
他の組織では細胞が分裂再生するので、
ごみは自然に除去されるのですが、
神経細胞は一生の間分裂しないので、
ごみはそこに貯まり続けます。
では、人によって認知症になる人とならない人がいるのはどうしてでしょうか。
なぜ、ごみの貯まりやすい人と貯まりにくい人とがいるのでしょうか。
ごみの貯まりやすい人は、一生の間、何をしても貯まりやすいままなのでしょうか、
何かをすれば貯まらないのでしょうか、何かをしなければ貯まらないのでしょうか。
ごみは1種類なのでしょうか、複数あるのでしょうか?
貯まる仕組みはどれも同じでしょうか?いろいろあるのでしょうか?
どういう仕組みで貯まるのかが明らかにされなければなりません。 |
| 認知症の基礎 |
◆認知症は
時間と空間に関連して起こった出来事を
覚えていられなくなる状態を主症状とします。
70歳以上の方の10%、85歳以上の方の20-40%が当てはまります。
ただ、認知症状は記憶だけではなく、
言語、
視空間認識
行為実践
計算
判断能力
問題解決能力
などに障害が出ます。
神経精神医学的にも欠損症状がでます。
うつ
無気力
不安
幻覚
妄想
興奮
睡眠障害
衝動
脱抑制
等
◆認知症の病巣部位
脳の一部、例えば海馬や前頭葉に局所的な障害が生じるだけでなく、
脳全体に広がる特別なnetworkが破綻します。
そのため、神経線維と神経細胞の
破綻する部位と破壊の程度に応じて
特異な臨床症状が作り出されます。
行動behaviorと気分moodと注意attentsionは上行性の
ノルアドレナリン、セロトニン、ドパミン回路により修飾を受け、
コリン回路により注意と記憶memoryは調節されます。
①アルツハイマー型認知症の病巣は
内側側頭葉の嗅内野entorhinal areaから始まり
海馬、外側側頭葉および後部側頭葉、頭頂葉新皮質に拡がります。
②認知症が前頭葉や皮質下から始まる
前頭側頭型認知症やハンチントン病は
必ずしも記憶障害から始まるわけではありません。
判断力、気分、実行機能、行動の障害が目立つ傾向にあります。
③前頭線条体回路は行動への特異的かつ予測可能な効果を生み出す。
④背外側前頭前野は
眼窩前頭皮質だけでなく、視床、大脳基底核の一部(特に背側尾状核)、
海馬、新皮質の一次および二次連合野(後側頭、頭頂、後頭部を含む)と
つながっています。
また、刺激とどのように相互作用するかに関係する背側経路の終点でもあります。
その重要な機能は、
ワーキングメモリー、認知的柔軟性、計画、抑制、抽象的推論などの
実行機能です。
しかし、背外側前頭前野は実行機能だけを担っているわけではなく、
すべての複雑な精神活動には、
背外側前頭前野とつながっている皮質および皮質下回路がさらに必要です。
また、運動計画、組織化、調節に関与する最高皮質領域でもあります。
⑤外側眼窩前頭皮質
この部位への損傷は脱抑制行動の原因になると言われています。
過度に悪態をつく、性欲過多、社会的対話の欠如、賭博への衝動、
飲酒、タバコ、薬物摂取、共感能力の欠如などです。
前頭側頭型認知症の脱抑制行動と関連があるとされます。
⑥前帯状皮質anterior cingulate cortex
前頭前皮質medial prefrontal cortes
側坐核nuclear accumbens
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| 認知症の臨床 |
40歳を超えると、ものわすれが気になってきますが、
多くの場合は加齢による生理的なものです。
しかし、いわゆる痴呆症の初期症状であることもあります。
ここで、ものわすれを治療可能もしくは予防可能なものと
治療効果の上がらないものに分けて考えてみましょう。
治療可能なものわすれのほとんどは、
脳神経外科手術によって症状が軽減するものです。
代表的な疾患としては、
正常圧水頭症、慢性硬膜下血腫、良性脳腫瘍等が挙げられます。
認知症の診断の際、ほぼ例外なくCTやMRIをとりますが、
目的はこれらの治療可能な疾患が隠れていないかを
確認するためです。
更には、脳の血管障害によって起こるものわすれがあります。
高血圧や糖尿病、高脂血症、喫煙などのいわゆる生活習慣病が
根底にあります。
中でも高血圧がある場合は40-50歳のうちに脳のMRIを行い
無症候性の脳梗塞があるかどうかを調べて、
その結果を指標として血圧のコントロールを行うことが重要です。
治療が難しいものわすれは、
いわば狭義のものわすれ、認知症ということもできます。
有名なアルツハイマー病や
近年有名になったレビー小体型認知症がこれに当てはまります。
これら疾患に対して一連の抗認知症薬が投与されますが、
若干効果が乏しいと感じられることがあります。
新たな薬剤が登場してはいますが、
やはり長期にわたって有効とは言えないようです。
このグループに属するものとして他に
前頭側頭型認知症
進行性核上性麻痺
大脳皮質基底核変性症 などがあります。
最近では、できるだけ早期に認知症になりそうな人を発見することと、
認知症の患者さんによりうまく寄り添うことが
治療上、介護上の目標とされる傾向にあります。 |
| (アルツハイマー型)認知症の初期の症状 |
最初に自分がひょっとして認知症ではないかと思うとき、
患者さんが示す反応は、誰にでも高圧的となるか、もしくは
うつ状態に落ち込むかです。
①超早期の記憶障害:数秒、数分前の出来事、会話等を覚えていない。
②同じ話を繰り返しする。
③日々の簡単な機械の操作が出来なくなる。例えばパソコンをONにするなど。
④自分のミスを否定する、もしくは知らんぷりをする。
⑤ものが見つからないなどを人のせいにする。誰かが取った。
⑥思い込みがひどくなる。
⑦幻覚が出る。
⑧歩行時もしくは運転時道に迷う。
⑨うまく話せなくなる。会話がまっとうに進まない。
⑩性格の変化、以前の同じ人とは違うと感じさせる。
⑩切れやすくなる。 |
| 認知症のリスク因子(2020判LANSET誌) |
①教育歴
②難聴
③頭部外傷
④高血圧
⑤過剰飲酒
⑥肥満
⑦喫煙
⑧抑うつ
⑨社会的孤立
⑩運動不足
⑪大気汚染
⑫糖尿病 |
| 認知症を誘発させる、もしくは悪化させるかもしれない薬剤 |
①抗コリン剤
盲点としては、喘息の吸入薬の中に
抗コリン剤を含有しているものがあります。
どの程度関わっているかは不明です。
②ベンゾジアゼピン系剤 |
| 認知症の予防 |
認知症の予防法としては、まずは一般の認識とは逆に
自分が周りの方の便りになる存在であろうと努めることです。
そして、ひたすら脳を使うことに尽きると言われています。
どうです、昔やった微積分でも、
二桁の暗算(筆算ではなく)でも構いません。
そろばんやお習字を練習する、俳句を詠むなどはどうでしょう。
楽器の練習はとても効果が上がると言われます。
子供のときにやったピアノに触れてみましょうか。
何かのスポーツもよいでしょう。
卓球、テニス、バドミントン等。
お料理もよいですね、火の始末には気を付けて。
どなたかと一緒にやるのもいいですね。
この方は認知症?
ゴルフの時の不思議な症状
ゴルフのLESSONの一環として、
コーチを交えてコースに出ることがありました。
その患者さんは、苦労の末、
グリーン上であと30CMでカップに入るところまで
ボールを持ってきました。
ところがパターをもってボールのところに来て、
パカーンと反対方向にボールを打ったのです。
それでお仕舞。コーチも唖然周りも唖然でした。
これが一度二度ならず、周りを人も不快感の渦に巻き込んで
悲惨なゴルフになってしまいました。
また、SCOREを付けていませんでした。
何打で上がったか、覚えていられない為のようでした。
誰でも6-7打にもなると覚えていられなくなりますが、
ただそれだけの為ではないようでした。
記憶障害があるようでした。
易怒性も目立つ症状の一つです。
何らかの自分に気に入らないことを指摘されると
瞬時に怒髪天をつく状態になるのです。
周りは大変です。 |
| MCIについて |
2001年アメリカで正常の老化と認知症の間に
認知症へと移行する境界領域があることが提唱されました。
軽度認知障害(Mild Cognitive Impairment)MCIと名づけられました。
MCIの時期には、ものわすれや理解力の低下があっても
日常生活は普通にできます。
簡単にいうとMCIとは認知症の一歩手前ということですが、
認知症と明確に線を引くことはできないといわれます。
MCIの段階では認知症にならずに
踏みとどまることができる場合があるけれど、
認知症からMCIにもどることはできないといわれます。
認知症ではなく、まだMCIの段階だというには、
①症状が出ていても、日常生活に支障はない。
②自分のものわすれを、ミスと自覚できる。
ことが必須と言われています。
逆に認知症では、認知機能が低下し、
日常生活に支障をきたしているということです。
MCIの人が65歳以上の高齢者の中に、3-10%程度存在すると言われています。
正常老化とみなされている人たちの中で、
認知症に移行する割合は年間約2%くらいですが、
MCIとされる人たちの中から認知症に移行する割合は
年間約10%といわれています。
そして5年後には約50%が認知症に移行すると
いわれています。
MCIはアルツハイマー型認知症で顕著にみられます。 |
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