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めまい |
◆めまいは、基本的には平衡感覚の狂いが原因ですが、 患者さんの訴える「めまい」の中には、 脳の血液循環の障害によるフラツキや 「頚性めまい」といわれる頸椎の変形や頚部血管の狭窄によるふらつきが かなりの頻度で含まれています。 ◆平衡感覚の障害によるめまいは、 目、耳、身体の知覚障害、もしくはこれらの器官からの 情報を統合する脳の障害により起こりますが、 実際には耳と脳の異常によるものに大別されます。 ◆耳が原因の場合には、めまい症状の多くは 周囲や自分がぐるぐる回るといった回転性で、 嘔吐、発汗等の自律神経症状を伴いがちですが、 持続時間は比較的短く、 生命を脅かすということもありません。 ただ、治療のタイミングを逃すと 聴力障害を残すといった場合 (突発性難聴)があります。 ◆脳を原因とするめまいは、回転性の場合もありますが、 動揺感、浮遊感として表現される場合が 多く見受けられます。 めまいの程度はそれほどひどくなくても、 小脳や脳幹の出血や梗塞、くも膜下出血が原因のことが ありますので、生命に対する緊急性が高い というのが特徴です。 |
頚性めまい |
◆ 頚性めまいには2つあります。 ◆首の筋肉の緊張がひどくなり(こり)、 かつ左右どちらかの緊張がより強いときに、 くらくらーとしためまいがおこることがあります。 回転性の要素が加わることがあります。 往々にして、頚椎の変形が関係しています。 ◆また、頚椎の変形の仕方によっては、 頚椎の中を走る椎骨脳底動脈が、 首の位置によって、骨の先端で圧迫されることがあり、 小脳や脳幹や内耳への血流が障害されて めまいが起こることがあります (椎骨脳底動脈血流不全の一種)。 ◆さて、1000例のめまいの患者さんを retorspectiveに解析した2016年の研究では、 めまいの患者さんで、最多の診断は、 BPPV等の耳鼻科領域のめまいでなくて 頸性めまいでした。89%でした。 頚部MRIを施行した症例の中で最も多い頸椎・頚髄病変は 脊柱管狭窄症でした。 また、頸椎・頚髄病変が根底にあり、、 更にめまいを誘発した頸の姿勢への負荷では、 例えば高齢女性では、農作業や草取りなどの庭仕事で、 長時間の前傾姿勢を取ることが誘因になっていました。 頸性めまいの患者さんにおいて、 頸・肩筋群の過緊張や緊張型頭痛を伴う場合には、 筋弛緩薬による是正が最も重要であり、 治療により1週間以内にめまいが軽減した症例は90%と述べられています。 若い方の場合には、明瞭な頚椎・頸髄病変がなくとも 頚部への慢性的な負荷、例えば、PC、スマホによる長時間の負荷 が症状の発現に関わっている可能性があると考えられています。 |