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2025年3月1日更新

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めまい
めまいは、基本的には平衡感覚の狂いが原因ですが、
患者さんの訴える「めまい」の中には、
脳の血液循環の障害によるフラツキや
「頚性めまい」といわれる頸椎の変形や頚部血管の狭窄によるふらつきが
かなりの頻度で含まれています。

平衡感覚の障害によるめまいは、
目、耳、身体の知覚障害、もしくはこれらの器官からの
情報を統合する脳の障害により起こります。

専門用語を使って表現すると
視覚、前庭覚、体性感覚、中枢性統合機能の障害により
眩暈は起こりますとなります。

耳が原因の場合には、めまい症状の多くは
周囲や自分がぐるぐる回るといった回転性で、
嘔吐、発汗等の自律神経症状を伴いがちですが、
持続時間は比較的短く、
生命を脅かすということもありません。
耳からくるめまいは色々ありますが、
代表は良性突発性頭位変換性めまい
benign paroxysmal positional vertigoBPPVです。

治療のタイミングを逃すと
聴力障害を残すといった場合
(突発性難聴)があります。

最近耳鼻科領域の先生方の間で、
持続性知覚性姿勢誘発めまい
(persistent postural perceptual dizzinessPPPD)という名称の
とても頚性めまい(後述)に似ためまいふらつきが注目されています。
原因としては頸性めまいより、より精神的な面が強調されています。
2018年WHO国際疾病分類ICD-11に新しく掲載されました。

もちろん。頸性めまいとPPPDは別の疾患ですが、
めまいの機序の解明に新しい視点が生まれるかもしれません。

頸性めまいは頸椎の変形と負荷を基礎原因とし、
症状は回転性めまいというよりは、ふらつきをmainとします。
同じ頸椎の変形と負荷が根底にあると考えられる
緊張型頭痛と親戚関係にあり、
頸性めまいを有する患者さんは往々にして緊張型頭痛をも有しています。

PPPDの治療に抗うつ剤(SSRIやSNRI)が使用されます。
緊張型頭痛の治療には古典的な三環系や四環系抗うつ剤が
用いられることがあります。
両者とも抗うつ剤が奏功するというのは興味深いところです。

めまいの根底には、姿勢保持情報の狂いがあります。
つまり目からの情報、耳からの情報、頸筋からの情報が
脳で総合的に処理されますが、その処理結果に???が付くと
めまいふらつきが起こると考えられます。


脳を原因とするめまいは、回転性の場合もありますが、
動揺感、浮遊感として表現される場合が
多く見受けられます。

めまいの程度はそれほどひどくなくても、
小脳や脳幹の出血や梗塞、くも膜下出血が原因のことが
ありますので、生命に対する緊急性が高い
というのが特徴です。
頚性めまい 
頚性めまいには2つあります。

首の筋肉の緊張がひどくなり(こり)、
かつ左右どちらかの緊張がより強いときに、
くらくらーとしためまいがおこることがあります。

回転性の要素が加わることがあります。
往々にして、頚椎の変形が関係しています。

また、頚椎の変形の仕方によっては、
頚椎の中を走る椎骨脳底動脈が、
首の位置によって、骨の先端で圧迫されることがあり、
小脳や脳幹や内耳への血流が障害されて
めまいが起こることがあります
(椎骨脳底動脈血流不全の一種)。 


◆さて、1000例のめまいの患者さんを
retorospectiveに解析した2016年の研究では、
めまいの患者さんで、最多の診断は、
BPPV等の耳鼻科領域のめまいでなくて
頸性めまいでした。89%でした。

頚部MRIを施行した症例の中で最も多い頸椎・頚髄病変は
脊柱管狭窄症でした。

また、頸椎・頚髄病変が根底にあり、、
更にめまいを誘発した頸の姿勢への負荷では、
例えば高齢女性では、農作業や草取りなどの庭仕事で、
長時間の前傾姿勢を取ることが誘因になっていました。

頸性めまいの患者さんにおいて、
頸・肩筋群の過緊張や緊張型頭痛を伴う場合には、
筋弛緩薬による是正が最も重要であり、
治療により1週間以内にめまいが軽減した症例は90%と述べられています。

若い方の場合には、明瞭な頚椎・頸髄病変がなくとも
頚部への慢性的な負荷、例えば、PC、スマホによる長時間の負荷
が症状の発現に関わっている可能性があると考えられています。

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